メディカルフィットネス事例紹介インタビューInterview
Interviewインタビュー
メディカルフィットネス SHIN-SHINとよた
主任 橋本渉 様 / 副主任 森理美 様
会員1人1人とのコミュニケーションを大事にし、地域に根ざした健康づくりに力を入れていらっしゃる、「メディカルフィットネス SHIN-SHINとよた」の橋本渉様、森理美様にメディカルフィットネスにおける医療との連携、会員を増やす取り組み、施設の特徴等をインタビューさせていただきました。
Facility Information施設情報
メディカルフィットネス SHIN-SHINとよた
医療法人三九会 メディカルフィットネス SHIN-SHINとよた
所在地:〒471-0035 愛知県豊田市小坂町7-80
TEL:0565-34-6272
URL:www.sankuro.or.jp/shin-shin
施設面積:400㎡ トレーニングジム:1施設 スタジオ:1施設
会員数:400名
開設時期:2007年4月
医療法第42条疾病予防運動施設・厚生労働大臣認定健康増進施設・指定運動療法施設
運営母体:医療法人三九会 三九朗病院 診療科目:内科・整形外科
施設紹介
当施設は医)三九朗病院内に併設しており、予防・医療・介護の予防部門を担う運動施設として2007年にオープンしました。
現在、健康運動指導士2名 健康運動実践指導者3名、受付スタッフが常駐し、医師、管理栄養士と連携を取りながら運営しています。私たちの施設は生活習慣病の「予防」と「改善」を第一に考え、健康な方からリハビリ終了者また介護予防が必要な高齢者に継続的に運動を行っていただける施設です。
特長は入会時のメディカルチェック(血液・尿検査・心電図)、体脂肪測定、体力測定を実施し、健康スポーツ医との面談後、健康運動指導士がプログラム作成しています。他医院が主治医の場合は運動の可否・注意事項等を確認するお伺い書を発行しています。また医師との面談時に必要と判断されればCPXを実施します。生活習慣病の予防・改善、減量には運動のアドバイスだけではなく食事指導も欠かせないので、医師、健康運動指導士の判断、ご本人の希望により管理栄養士の栄養相談が実施できる体制を整えています。
運動プログラムはニコニコペースを基本に会員様の目的を聞きながら安全で効果的な運動のアドバイスをするよう心かけています。また病院併設のメリットを活かし、骨密度測定、内臓脂肪CT、脈波(血管年齢)、肺機能検査も会員特別料金で提供しています。メディカルチェックも含め、こうした医学的な検査結果から病院受診のアドバイスを行うことで医療と介護、予防(健診)での循環ができ、早期発見につながっていると考えています。 地域に根ざした病院でもあるため、地域の健康づくりと運動を普及させる目的で健康講座の窓口も設けており、自治体や企業様から依頼を受けています。 私たちは運動を通して地域に根ざした健康づくりと、医療と介護の分野と連携して好循環を生み出す施設として貢献していきたいと思います。
─橋本さんは、SHIN-SHINとよた(以下略称)にて、施設運営・運動指導などの立場で業務に携わられていらっしゃいますね。
今回はその立場からお話を聞かせて頂ければと思っています。
まずは、メディカルフィットネスフィットネスで仕事を始めたきっかけ、どのような思いで業務にあたっているかをお聞かせ頂けますか。
前職が生活習慣病に対する運動療法を得意とする施設で勤務し、前々職がスポーツリハに特化したクリニックに勤務していたこともあり、病院併設の運動施設に興味がありました。そうしたところ当施設がメディカルフィットネスを立ち上げるということで入社をしました。
2007年2月に入職しましたので14年が経過しました。オープン当初から現場責任者として、また健康運動指導士としての運動指導および施設全体の運営やスタッフ管理、病院内の他部署との連携等を行っています。
これまでの経験からメディカルフィットネスは経営的に厳しいことは理解していましたので、経営的にも運動施設的にもバランスのとれたメディカルフィットネス作りを目指そうと考えていました。オープン当初は運営面で苦労しましたが、派手なことはせずにコツコツやってきたことが実を結び、コロナ感染拡大前までの数年は会員数が増加傾向でよい流れができつつありました。
予防という観点から医療と運動をどのように結びつけて、今後運動実践者を増やしていけるかチャレンジしていきたいという思いで業務に取り組んでいます。
─森さんは、いかがでしょうか?
学生の頃から、運動が苦手な方や生活習慣病など1人では運動が難しい方へのサポートがしたいと考えていました。
その思いでフィットネストレーナー、エアロビクス、アクアダンスなどの実技を中心に勉強しながら、生活習慣病予防教室や介護予防教室を実践してきました。その経験を活かして現在は利用者のリスク管理やスタッフの教育を行いながら、現場ではスタジオレッスンや介護予防事業を行っています。
今後はメディカルフィットネスとして病院や健診、地域と情報交換をしながら、よりスムーズに運動を始められる仕組み作り、地域の健康づくりの中心となっていける様に取り組んでいきたいと思っています。
─それでは施設についてお聞きします。施設の設備形態を教えてください。
また、職員の人数構成、現在の会員数、年齢層を教えてください。
橋本さん:施設形態は医療法第42条疾病予防運動施設、厚生労働大臣認定健康増進施設、指定運動療法施設の認定を取っています。
健康スポーツ医2名(病院業務兼任)、健康運動指導士2名、健康運動実践指導者3名、受付スタッフ5名(パート含む)、管理栄養士1名(病院業務兼任)のスタッフで業務を行っています。
会員数はコロナウイルス感染拡大前(2020年2月)で総会員数430名、現在(2021年7月)は340名となっています。会員層は平均年齢が65歳で、60・70才代が中心なっており、それぞれ30%以上を占めています。 男女別の割合は男性35%、女性65%となっています。1日の平均利用者数は約100~130名です。
─SHIN-SHINとよたの入会からの会員の流れについて教えてください。
橋本さん:※他医院が主治医の場合は運動の可否・運動時の注意事項を確認するお伺い書を発行しています。(運動不可の場合は入会不可)
1.メディカルチェック(血液・尿検査・心電図)、体脂肪測定、体力測定
2.健康スポーツ医によりコンサルティング(メディカルチェックの結果説明と運動を行う際の注意事項を説明)
3.健康運動指導士がメディカルチェックの結果、コンサルティングの内容、ご本人様の意向を聞きながらプログラムを作成
以上の流れで運動開始となります。
─会員維持のために工夫していることを教えてください。
森さん:運動指導員がトレーニングゾーンに常駐しており、コミュニケーションを図るようにしています。 また運動記録表に体調チェック欄とその日に会話したスタッフの押印欄を設け、1日1回は運動指導員が会員様に声かけをするようにしています。会員様が飽きの来ないよう、館内で定期的にイベントを実施しています。 内容は季節に合わせたものから運動関連に固執せずに時勢に沿った内容をスタッフが考え開催をしています。
─コロナ禍において、色々創意工夫されながら運営されているかと思いますが、休会者・退会者へのフォローの方法、また施設利用に関して工夫されていることはありますか。
橋本さん:感染対策は他施設さんと同様に検温、手指消毒、換気、トレーニング機器や更衣室内の消毒清掃を行っています。病院併設のため院内クラスターを発生させてはいけないという緊張感の中で営業しています。休会者数が大幅に増加し、そこから退会につながらないように休会者には「自宅でできる運動記録帳」を送付しています。
体重・1日の歩数・ラジオ体操やストレッチ・ウォーキング実施の有無、間食などを記載する内容です。
コロナ禍において経営的に厳しい状況の中、私たちの施設では大人数を集めた結果、病院内でクラスターの発生原因になってはいけないという狭間で手探り状態で運営しているのが現状です。
─健康増進施設、指定運動療法施設の認定を取得されていますね。
指定運動療法施設における医療費控除の対象者は何名ぐらいいらっしゃいますか?また、医療費控除対象者の主な疾患名、運動療法の流れについて教えていただけますか?
橋本さん:コロナ前も後も160名となっています。今後も健康増進に頑張る方のメリットとして広めていけるようにしたいと思っています。
対象者の主な疾患は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病が中心で整形疾患は多岐にわたります。
主治医が発行する運動療法処方箋の内容に沿ってプログラムを作成しています。
─SHIN-SHINとよたの特徴や強みについて教えてください。
橋本さん:施設規模からみて運動指導員を多く在籍させていることです。メディカルフィットネス施設では、まだまだ人手が重要だと思っています。
会員様も会話を楽しみにきている方も多く、私たちの施設は運動指導だけではなく、人が健康的に生活を行っていくために、また継続的に運動を行っていただくために何が必要なのかを考えられる施設を目指していますので、会員様とのコミュニケーションも重要視していることです。
また高血圧症や心疾患のある方は運動中の血圧や心拍数を定期的に測定し、運動負荷のチェックを行っています。
私たちの施設は会員制のフィットネスクラブのため、会員様の情報が集め易いので主治医、疾患名、服薬の種類、運動時の注意事項などを一元化し、運動カルテを見るとスタッフ全員が一目で分かるようにしています。こうした準備をしておくことで運動指導員は指導中でもリスクを把握することができ、安心して会員様にアドバイスをすることできています。
─インストラクターの方の研修はどのような形式、内容で研修を行っていますか。
森さん:休日を利用して自主的に勉強会を実施することが難しくなってきており、本来であれば教育システムを構築できればよいのですが、個人の力量に頼ることが大きくなっているのが現状ですので、年間1回以上は外部の研修に参加するように促し、あとは自主性に任せています。
また月に1回30分程度の勉強会を開催しています。
経験の浅い運動指導員には、個別に宿題形式の課題やその場で会員様を対象に疑問に思ったことなどを投げかけるようにしています。指導員のスキルアップの為、同じ内容でも何度も繰り返し、根気よく行うことが重要だと感じています。
─外来や健診センターとの連携はどのように取っていますか?
橋本さん:当院の主治医から紹介していただいた患者様は運動指導依頼箋を記入していただくと入会金の割引制度を設けています。
また健診センターとは事前に問診書類にパンフレットを同封したり、見学を促しやすくなるようアンケートを同封し、当日見学希望者がいればスタッフが健診センターまで迎えに行き見学対応を行っています。
─運営上の課題はありますか?
橋本さん:入会者を増やすために外来、健診、介護とのルートは作りましたが実績が伴っていないことです。せっかくスタッフが知恵を出し合い準備しても、その成果が目に見えて出ていません。
経験則ですが、他部署との連携は非常に大切ですが医師から運動を勧めていただくことが最も入会増に繋がると思います。
まだまだ世間にメディカルフィットネスというものが何か?認知度が低いと思っています。当施設に見学にいらっしゃった方は「リハビリの施設か病気じゃないと来られないと思っていた」とおっしゃる方が半数以上です。また指定運動療法施設で医療費控除の対象になるということも知られていません。
経営的な側面と雇用形態の問題もあります。正しい運動方法をアドバイスすることと経営の両立を考えて運営していくことがこれまでの、そして今後の課題であると思います。
─今後、メディカルフィットネスを開設しようとしている方、現場指導をしようとしている方に向けてメッセージを頂けますか。
橋本さん、森さん:予防(健診)、医療、介護とタッグを組むことでよい循環を生み出す可能性があります。リハビリ終了者の運動する場、介護認定の要支援者の運動する場を提供できる施設としてメディカルフィットネスの設置の意義と役割は大きいと思います。
運動は正しく行えばメタボ・ロコモ予防や改善に効果的です。まだまだメディカルフィットネスの名称の認知度が低いので経営的には苦戦しますが、日本メディカルフィットネス研究会を中心に協力し合って、皆が活躍できる場を作っていきましょう。
ここでしか見れない! 「SHIN-SHINとよた」の紹介
健康増進施設 指定運動療法施設認定を取得
会員様との信頼関係は運動指導だけでなく、会話から築きます。
有酸素運動の機器はエルゴ5台、リカンベントバイク3台、クロストレーナー2台 体幹、上下肢の筋力トレーニング機器 10台
1日4~6本のスタジオレッスンを実施。どの年代でも参加でき、楽しく継続できる内容を提供しています。
運動中に血圧測定を行い、負荷の見直しやリスク管理を行います。
運動前後の血圧測定と運動前の体重測定で日々の管理を行っています。
入会以降6ヶ月ごとに体脂肪測定を行い、結果説明は個別に運動指導員が行い、運動プログラムの見直しに役立てます。
年間スケジュールを作成し、メディカルチェックや体脂肪測定、メニュー見直し時期が一目で分かるよう工夫しています。
当院の医師から運動指導依頼箋が発行されます。これを持参された場合は入会金が無料となります。
管理栄養士による栄養相談は本人からの希望、指導員からの指示、管理栄養士からの指示でも実施可能です。
栄養指導報告書・・・管理栄養士からの報告書には運動指導員が全員目を通します。運動中にプランに書かれている事項の行動の変化を確認します。
管理栄養士が毎月発行する栄養新聞と季節に合わせた健康レシピは人気です。
当院に併設する健診センターと連携し、予防、医療、介護の循環型の施設を目指しています。
主治医、服薬状況、運動時の注意事項が一目で分かるように運動カルテの先頭にファイリングしています。