メディカルフィットネス事例紹介インタビューInterview
Interviewインタビュー
Sports & Medial fitness Re-birth
ゼネラルマネージャー
四家卓也 様
─はじめに、四家(しけ)さんがメディカルフィットネス施設Re-birth(以下リバース)の開設に至った背景をお聞かせいただけますか?
スポーツをしていくと、必ず怪我が付き物になってきます。病院の対応としては、メディカルリハビリテーションという部分のみを行うところがほとんどなんです。例えば可動域が広くなったとわかったときに病院側としてはすぐに現場に復帰させるというのが通例になってしまっています。実際では、現場に戻ってもすぐには動けないという現状があります。これは、「アスレチックリハビリテーション」という部分が抜けてしまっているということでもあります。この部分をしっかり補わないと、基本的には怪我の再発を繰り返してしまったり、パフォーマンスが落ちてしまったりします。
ですが、アスレチックリハビリテーションを充足するだけの施設が単独で存在していても、それはそれで実は意味がないのです。きちんと「医療機関と現場を繋ぐ役割としてのメディカルフィットネス」という分野が必要だと思います。そういった場所がないと、復帰に向けてもスムーズにいきませんし、実際やれることやれないことに、すごく差ができてしまいます。そういった部分を補える場所がまず必要だ、ということがメディカルフィットネス施設開設の背景にあります。
理学療法士がいるだけではなく、他職種が絡むことで、怪我の復帰、リハビリテーションからパフォーマンスアップまでを一元化できるわけです。「現場に繋ぐ」ということについては、施設のスタッフが直接現場に行くこともできる。そういった環境が必要とされています。
─まさに医療とプロスポーツを繋ぐ役割を担われているということですよね。
そうです。怪我をさせないための障害予防という観点でも対応できるようになります。
障害を起こさせないだけではなく、現在日本の医療とスポーツ界の現場には「障害予防だけだとパフォーマンスが上がらない」という課題があります。『パフォーマンスを落とさない・上げられる障害予防』という観点からもアプローチが必要だと考え、しっかりデータ化してパフォーマンスアップに繋げられるように、メディカルフィットネス施設を立ち上げています。
─なるほど。おっしゃっていたパフォーマンスが上がらないというのは、怪我にならないように気配りをするがために、それが逆にパフォーマンスアップの足枷になっていた、ということなのですね。
そうですね。今までの現状では、データがないままにリハビリを行っているので、怪我をしないようにセーブしているというか。感じていい痛みもあれば、これ以上はやらない方がよいという痛みもあり、根拠がないままリハビリをしているのが現状です。
パフォーマンスを上げる事を目的にしながらリハビリを行うことが障害予防に繋がっていきます。実際のアドバイス内容としては、「この体の機能を有していればバンバン動かしていい」とか、「このトレーニングするとあなたの場合はこの機能が落ちてしまう、このトレーニングは合っていないのでパフォーマンスが下がります」といったところですね。
─リバースでは沢山の運動関係者をクライアントにお持ちだと思いますが、クライアントの皆様のご感想というのはいかがですか?
まず、来ていただくきっかけとしては、パフォーマンスを上げるために勿論ウエイトトレーニングは必要になってくるのですが、ウエイトトレーニングのみになってしまって、その後の体の機能性に関しては疎かになってしまい、パフォーマンスが上がらない、という課題で当施設に来て下さるケースが多いですね。
ウエイトトレーニングだけ、フリーウエイトだけに取り組ませる施設では、一般的に、筋肉を大きく、体を大きくしてパワーが上げる、という目標を持たせています。しかし、その目標のみを掲げトレーニングをすると、筋力が上がっていても機能性が上がらず、体が固くなり、自分で思うように体を動かせないという問題が起こりやすくなります。そのような悩みをお持ちの方が「しっかりウエイトトレーニングをして筋肉をつけたのに、パフォーマンスが上がらない」と、当施設に最後にご相談にいらっしゃるケースも多いです。
特に競輪選手で多いんですが、スピードが上がらないという課題を持ちながら当施設にいらした方を見た際、全然体が動かせていない状態となっていたことが、わかることもありました。
野球でもサッカーでもそうですが、ウエイトを付けてトレーニングしているのにスピードが上がらないとか、ボールの高さが思うように上がっていかない、という方も結構いらっしゃいます。その問題については実は、筋肉を大きくすることで改善できるものではなく、体の使い方を見直すことが必要なのです。
体の使い方、特に機能性に着目してパフォーマンスを細かく評価をしていくと、例えば狭い可動範囲でのパワーはあるけど、実際に競技として使う箇所の大きな可動範囲では筋出力がすごく弱くなってしまっている場合があるんですね。そういった課題の解決ができるという点で、当施設を頼りにしていただいているケースが多いです。
─今までのトレーニングでは、ひとつひとつの部位をクローズアップしていたのですが、それが繋がって線にならないと良くならないということですよね。
プロスポーツでは、パフォーマンスという観点から考えると、まずパフォーマンスコーチが付いていますよね?
はい、ついてますね。
─リバースさんにいる方々は、フィジカルコンディショニングトレーナーという立場なんですよね。
そうですね。
─子どもの頃からスポーツをやってる人は、まずパフォーマンス重視で来ていたと思うんですね。これまでパフォーマンス重視で来ていた方々が、コンディショニングの必要性を感じるというのは、なにかきっかけがあるのでしょうか。
そうですね。中学生がプロにいくために、日本の社会では、いい高校に行ってある程度パフォーマンスを見せないとプロチームに入れないという現状があります。いい高校に行くためには、中学校でいい成績を残さなきゃいけない、いいパフォーマンスを見せなきゃいけないという現状があります。最近さらに若齢化してきていると思います。
ですので、中学校の段階で激しく練習しすぎてしまって体の不具合を生じたり、コンディショニングしないと試合に出られないというケースが増えているのが現状です。中学生くらいでなにかのきっかけがあって当施設を利用し、コンディショニングを上げていきたいというケースが多いですね。
─なるほど。ある程度、自己評価ができるようになってきた年齢からですかね。
そうですね。一流のトップでやれる子たち、プロにいく子たちは、その段階で私たちに対する注文も多くあります。
やらされているというよりは、自分で「この不具合が、ここが動かしにくい」とか「このプレーのときこれが出来ない」などという注文を私たちにしてくれる方がプロに行くような方だというふうに、私は感じながらサポートしています。年齢としては、中学校の2年生くらいが起点として多いように思います。
─このような方にメディカルフィットネスをおすすめする、こういう観点で取り組んでいくと良いというアドバイスをいただけますか?
何か障害がおきた時、保護者が治療方法を探すケースがほとんどかと思います。
保護者の方には、子どもたちを、より安全に将来に導くためのツールがメディカルフィットネスだという認識を持ってほしいと私は思っています。
メディカルフィットネスでは、コンディショニングも、パフォーマンスも、トータルコーディネーションができるのです。トータルコーディネーションとは医療機関と現場を繋ぐということです。現在、プロスポーツ選手がケアやパフォーマンス、ウエイトケアと様々な目的に合わせて色々な施設を回っていらっしゃいますが、それを一元化できる、情報共有できる環境もすごく魅力的だと思っています。
─リバースでは情報をスタッフ間で共有するためにどのようなツールを使っていますか?
全員がカルテ、評価データを読めるようにしています。また、リハビリの事も、パフォーマンスのこともある程度共有している体制です。
その中で、自分はここから関わるという役割分担を専門性によって分けていく、というスタッフの置き方をしています。病院ですと理学療法士がみる、現場ではトレーナーが見ると、「そこから先は任せたから分からない」という風に分断されてしまうので、そうならないようなアサインにしています。
─四家さんの施設は非常にユニークで、色々な職種の方がいらっしゃるとお聞きしていますが、今のスタッフ構成を教えていただけますか?
理学療法士が3名、柔道整復師が1名、日本体育協会のアスレティックトレーナーが1名、JATIなど健康運動実践指導者が2名、という構成です。
─様々な職種の方がいらっしゃって、それぞれの視点、観点から意見を交換しあえるのが良いのですね。
そうですね。